挑戦! どぶろく造り⑥

完成しました!

アンティークボトル&ラベルでデザイン

甘酸っぱくどろっとした昔ながらのどぶろくです。 
天然のミネラル、ビタミン類、アミノ酸、酵素など体に良い成分がたくさん入っており、まさしく「百薬の長」。
アルコール分  6~7度
ボーメ(甘さ)  8(←日本酒度-80)
酸度 4.7
というスペックです。

冷やして飲むとドロッと甘酸っぱい感じで、ロックで飲むとサラリと飲みやすくスイスイ入ります。
焼肉やカレーなど、油やスパイスの効いた料理とあうかもしれません。サイダー割りも良いでしょう。

今のところ「火入香」というムレたような香りがあるので、2-3ヶ月は冷蔵庫で静置し品質を落ち着かせます。
本数が1500本程度しかないので、10月1日からの「第22回 筑後の土蔵」にて限定販売になる予定です。

(終わり)

ラベル(仮)

挑戦! どぶろく造り⑤

甘酸っぱい状態(どぶろくは、すっぱ旨い感じ)

今朝時点でアルコール分が12度を超え、ほぼ目標の発酵状態に近づいてきました。

モロミは甘さがなくなっていますので、別に造った甘酒をモロミに混ぜ合わせます。(本仕込み)

甘酒(米・米麹だけでつくった甘酒)

甘みを加えるのに、醸造用の糖類や水あめを添加する方法が一般的ですが、山口酒造場では、米と米麹だけで造った甘酒を使います。天然のものは甘みが濃く自然な感じがします。

今日は午後から、甘酒を加えたどぶろくの原酒をボトリングして加熱殺菌(火入れ)をし、翌朝までゆっくりひやせば完成です。
江戸時代の味の再現は如何に??

(つづく)

挑戦! どぶろく造り④

発酵タンク順調に発酵しています。

現在はアルコール分7%
酸度8
日本酒度-80

現在は、①甘くなること と ②甘くなるなることが、同時に起こっています。

****************************
①麹が出した酵素が、お米のデンプンを糖分に分解しています。「糖化」と言います。
②酵母という生き物が、糖分を食べてアルコールを排出しています。「発酵」といいます。
①と②が同時に同じタンクで行われることを並行複発酵といい、日本酒の特徴の一つ。
****************************

モロミを舐めてみると、甘酸っぱく、ぴちぴちと飛び跳ねる感じ。

(つづく)

挑戦! どぶろく造り③

麹(こうじ)酒造りにおいて「出麹(でこうじ)」という、麹を作る部屋から麹をだす作業があります。
(麹が完成したら出麹をします)

先ほど、出麹をしました。二日前に麹を作り始めて約50時間、二日をかけて完成。
力強くなかなか良い麹ができました。(写真)

 

さて明日はいよいよ一次仕込です。
まず日本酒でいうところの「モト」のようなものを仕込んで酵母の数をしっかり増やし、予定だと一週間後に二次仕込(本仕込)を行う予定。
日本酒は本仕込を3度に分けてすこしづつ仕込んでいきますが、今回「復刻どぶろくつくり」にこだわり、あえて昔風の造りかたに挑戦してみようと思っています。

(つづく)

挑戦! どぶろく造り②

どぶろくというと密造酒のイメージが強いのですが、つまりは「発酵した日本酒をそのまま濾さずに飲む酒」と考えてください。密造酒とは関係ありません。(日本の法律はアルコールを家庭で造ることを禁止しています。日本は自家醸造を禁じている珍しい国と言えます)

江戸時代のどぶろくは、天然の乳酸菌が沢山ふくまれていて、甘酸っぱいドロッとした飲み物だったと想像されます。どぶろくの美味しさとは、その味もさることながら、麹の出す天然の酵素や、アミノ酸・ミネラル・ビタミンが豊富に含まれているので、人々が「百薬の長」として珍重して愛飲したのも、その理由のひとつではないでしょうか。

麹ムロに引き込む前の状態今日と明日で麹を造ります。

今朝早く、山田錦を150kg蒸しました。午前中、麹菌をお米に着床させ、夕方に手入れをする予定。

手造りでの少量製造になりますが、とろりと甘酸っぱいどぶろく造りを目指します。
どぶろくは、いかに力強い麹を作れるかどうかがポイントの一つでしょう。

(つづく)

挑戦! どぶろく造り①

「にごり酒」と「どぶろく」の違いをご存知でしょうか?

発酵したモロミを荒くこしたものが、にごり酒。
まったくこさないで、そのまま瓶詰めしたものが、どぶろくです。

同じモロミが、濾せばにごり酒、濾さなければどぶろくという訳です。
酒税法上にごり酒は日本酒ですが、どぶろくは「その他の醸造酒」という扱いになり、税率も違います。なんともややこしい日本の酒税法ですが、実は山口酒造場はどぶろくを製造する免許を持っており、今年初めてどぶろく造りに挑戦することになりました。

農家の山崎さん

原料米は、山崎徳松さんの栽培してくれた山田錦を使うことにしました。

(つづく)

仕込49号~火入れ・貯蔵編~

生酒をそのまま放置しておくと、どんどん味や香りが変化していきます。
生酒の香味を変化させないためには、氷温での貯蔵が条件。

ちなみに家庭用の冷蔵庫は氷温にはならないので、厳密にいうと家庭での生酒の管理は無理といえます。生酒を購入した場合は、早めに飲みましょう。

さて、なぜ、生酒は味が変化していくか?
それが、「酵素」の仕業です。酵素は、お米のデンプンやたんぱく質を分解する作用があり、しぼった後もデンプンを分解し続け、お酒を甘くしていきます。
「甘くする」というと聞こえは良いのですが、実際は味も香りの悪いほうに変化していくから大変です。

「火入れ」とは、この生酒の味を変化させる「酵素」を死活させるのが主な目的なのです。

(つづく)

仕込49号~火入れ・貯蔵編~

ろ過が終わると、火入れ作業に移ります。

火入れとは、お酒を60-65度に熱することをいい、この作業を行わないお酒は「生酒」と呼ばれます。
では、なぜお酒をわざわざ熱するのか?

新酒の中には、「酵素」という物質が沢山含まれます。
お酒の原料になる「米こうじ」は、麹菌(こうじきん)という生き物をお米に繁殖させたものですが、この麹菌が繁殖するときに自分で分泌するものが「酵素」です。

すこしわかりにくいかもしれませんが、酵素とは「生き物」ではなく「物質」だと思ってください。人間にたとえると、唾液や涙や爪や髪の毛みたいなものでしょうか?酵素とは、麹菌が繁殖するときに出したものです。

(つづく)

 

仕込49号~濾過編~

濾過は、写真のコンパクトフィルターを使い、約一日をかけてじっくり行います。
濾過機には、珪藻土(けいそうど)などの土の層を幾重にも作り、その層の中に日本酒を通すことで香りと味を損なうことなく、不必要な成分を取り除いていきます。

新酒の時にきっちり濾過をすることで、一旦は味がすこし変わったような印象を受けますが、山口酒造場の場合は、熟成させることで新酒の状態よりもさらに味が良くなるということが近年分かってきました。

また、活性炭の使用については、味を大幅に変えてしまう使用方法は論外ですが、むしろ少量の使用は必要だと考えています。活性炭を新酒の時に積極的に使用することで、火落ち菌をきっちり除去し、消費者の方の口に入る時に美味しい状態、安全な状態になるように心がけています。

「たなから」の原酒もいよいよ、最終段階に近づいてきました。

モロミ→上槽→滓引き→濾過

という過程をへて、次はいよいよ火入れ・貯蔵です。

(つづく)