仕込49号~上槽編~

1本の仕込タンクを半日かけて搾りますが、段階によって次の3つに区分されます。

①荒走り
しぼり始めて最初にでてくる、すこしにごった荒々しい部分。
昔は神事に使われた神聖なものでした。(布の目がつまって次第に透明な液体がでてきます)

現代は布も進化しましたので、実際にはそこまでにごった酒は出ませんが、炭酸ガスを含んだ荒々しい酒質は珍しいもの。年末くらいからお店で「荒走り」などと書かれた酒が並びます。

責め

②中取り(別名 中汲み(なかぐみ) など)
うすくにごった荒走りから、透明な中取りになります。
中取りとはその発酵タンクの一番美味しいところ。あまり加圧されず、米のうまみ、柔らかさが味わえます。私も初めて中汲みを飲んだとき、前や後の部分と味が明らかに違うことに驚かされた経験があります。日本酒とはそんなに繊細なものなのです。

中取りはとても贅沢な部分ですが、荒走りや、次に紹介する「責め」をどのように商品にしていくのか、蔵によって考えはさまざまです。山口酒造場では、中取りを特別扱いせずに、発酵タンク毎に商品にしていくことを基本としています。

③責め
最後に、圧力を上げて「ギューッ」としぼる部分を、文字通り「責め」といいます。
苦味・雑味が多い部分なので、あまり欲張らずに搾り過ぎないことも重要。最近の酒かすが柔らかいのは、昔と比べてあまり「責め」を欲張らず早めに搾るのをやめてしますのが一因でしょう。

(つづく)