山田錦11月14日

玄米

これが山田錦の玄米です。一般米に比べ大粒で、中心に白く見えるところは心白(しんぱく)といいます。これから精米し、仕込みに使っていきます。

今年は、7月の日照不足を8月で取り戻し、9月に台風がこなかったので概ね良いコメ造りが出来たと思います。秋口の気温が高かったので粒が小さい傾向にありますが、干潟は冷たい水が流れ込むので少し立地に助けられた感じ。

一日仕事です振動してふるいに掛けていきます約3トンのコメは一日で処理します

作業は数日に渡って行いますが、今日は約3トンの玄米を処理しました。
モミは今年も田んぼに肥料として戻します。

数ヶ月に亘り山田錦の栽培を紹介していきましたが、私自身、酒造りというのは、農家の方の熱心な取組み、そして、何より自然の恵みに支えられていることを、改めて実感しました。

2007年山田錦の紹介はこれにて終了いたします。

玄米を入手するといよいよ精米に移り酒造りがスタートしますが、山田錦を使った酒造りは順次お伝えしていきます。

大型の籾摺り機

長い間ありがとうございました。

山田錦10月19日

甘水の山崎さんから稲刈りをしたと連絡があったので行ってきました。

モミガラの山の前で「今年は往生した」とは第一声。隣の田んぼで知人が野菜を作っていたので、今年は思うように自分の田んぼで水管理出来なかったらしい。水を入れるとモグラの穴を伝って水が隣の畑に流れてしまい、野菜は出来なくなるらしい。いろいろあるものだ。

しかし昨日収穫したコメは粒は小さいもののなかなか健康でいいものだと納得されていました。今年は気温が高かったので、どこの産地でもモミが厚く玄米が小さいのが特徴だろうか。気温が高いと自分を守るためモミが厚くなる傾向があるそうです。
あとはたんぱく質がどこまで少なくなっているか楽しみな感じ。

山田錦10月17日

かけ干し

自然農法で取組む樽海さんの稲刈りが16日に終わりました。ご苦労なことに今年も手刈りです。昔懐かしい「かけ干し」が行われており、約1週間かけて乾燥させます。

すこやかな稲

この自然乾燥、いわゆる天日干しというのは米の食味を高めるので、天日干しのコメは本当に美味しい米になります。現代ではそんな面倒なことをせず、大半がJAの大型カントリーで熱風により機械乾燥されていますが、JAの主導する農業を知るたびにがっかりさせられます。

地割れしています

コメが「まだ」と言っているのにカントリーの順番に合わせて未熟米が収穫されてしまう現実、一旦カントリーに入れればあとは農家は知らんぷり、コメの出来栄えに関係なくJAが買い取ってくれ実際の販売はJAがやってくれる現実、これでは栽培に力が入らないのは当然でしょう。

結果JAだけが儲かるしくみで、所得が上がらない農家に後継者はおらず農業は衰退の一途。日本の食料自給率は40%を切り、国力も危ぶまれています。日本にはまだまだ美しい自然が沢山あるのに、残念。

(お金で安く食料が買える時代はそろそろ終わろうとしていると個人的には思うのですが、農家の方は今自信をなくされています。もうすこし1次産業の人が豊かになる方法はないのでしょうか。話をしているとこちらが心が洗われるような純粋で素晴らしいかたばかりです。)

見事な黄金色

それにしても樽海さんの田んぼは黄金色に輝いており、本当に美しかった。
肥料を全く施さず間隔を広くあけて栽培し、分株本数も15-18本とすくなく自然の力だけで成長した稲、戦前では当たり前の光景でしたが、今はこんな農家さんは「変人」扱いされる現代です。

上原先生(右)と先代 

昨年亡くなられた上原浩先生から「戦前の自然乾燥した米を原料にした酒造りと、いまの酒造りとは、根本的に醸造理論が違う」と聞いたことがあります。

当時は、よく理解できず「ふ~ん」くらいしか聞いていなかったのですが、今思うと、先生は何といいたかったのか。

これも昔話ですが、今年亡くなられた永谷先生から「山田錦の玄米おにぎりは美味しいぞ!!」と教えてもらったこともありました。酒米は食べても美味しくないとは業界の常識なので、すこし驚いたことを覚えています。

昨日は樽海さんの「山田錦玄米おにぎり」を一緒に食べましょうと約束をして帰ってきました。週末あたり楽しみです。

収穫の時期 乾燥は一週間

肝心の山田錦は、思ったより小粒でしたが心白がしっかり中心に入り見事なもの。今からコメの分析をしていきますが多分間違いない品質でしょう。 

余談ですが、山田錦にしては随分背丈が短い気がしたので何故かと尋ねてみると、肥料をあげなかったら毎年すこしずつ背が縮んできたとか。

山田錦の特徴の一つ、背丈が高い(=栽培しにくい)というのは肥料のせいだったのだろうか?

コメ造り…分からないことばかりです。終わりのない挑戦は続きます。

山田錦10月13日

秋も深まる季節。長かった山田錦の栽培も最終段階です。
収穫まであとすこし、追いかけてきた重松さんの田んぼではすこしトラブルが起きています。

倒伏した稲倒伏した稲2

ご覧の写真は、先週の大雨で稲が倒伏した様子。
重松さんの田んぼでは予想以上の倒れ方をしています。
根元から倒れていないのであまり心配はしておませんが、今までの栽培方法が正しかったのか、とても考えておられました。

仲間に連絡をとる重松さん

仲間と携帯でいろいろ相談されています。今年は、中干し期間が短かったこと、それと、冬場の草を肥料としてすき込んだのが稲が伸びすぎた原因なのか?と自問自答しておられます。 農業とは本当に奥の深いものです。

 私がみても、少し緑がつよく、肥料が効きすぎたのかな?と思いました。 肥料が強いと稲が伸びすぎて倒れたり、たんぱく質が増えすぎて良酒にはなりにくい傾向があります。

重松さんは刈り取り時期を遅らせて、たんぱく質を減らす方向でいくそうです。まだまだこれから諸策を練り、挽回出来ると言われています。 
いい酒を造る為に何かとご協力していただき、本当に頭が下がります。

黄金色に輝き始めました

こちらは、樽海さんの田んぼ。倒伏もなく、緑から黄色に色が抜けてきて黄金色に輝き始めた見事な田んぼ。こちらの山田錦は大粒でたんぱくも少なく極上品になるでしょう。
刈り取りは重松さんより1週間ほど早く予定しています。

山田錦10月4日

とうとう10月に入り、収穫まであと三週間ほどでしょうか。稲は登熟期にはいっており、モミの中にはすでに硬い粒が入っています。

古賀集団長と重松さん

今年の秋は大変あつく、高温障害の一種でしょうか、ウンカやカメムシがたくさん発生して、稲の養分を吸い取ろうとしており、減農薬栽培で取組む古賀集団長さんと重松さんがどの程度消毒するかを考え中です。

農薬を使うことには賛否両論ありますが、個人的な考えですが、稲作においては農薬は種類を選び、上手に使用すればいいのではと思います。 消費者は「無農薬」という言葉に弱いのですが、田んぼや農家の方のことを知れば知るほど、そう思うようになりました。 (野菜類は別です。また、肥料は化学・有機ともにすこし考えるべきかもしれません)

頭をたれる姿

今の田んぼの色は緑色から黄緑色で、まだまだ緑が強い感じですが、これがあと10日もすれば黄緑色から黄色に変化し、最後は黄金色に一面が輝きます。
美しい日本の原風景、山田錦のたんぼを眺めていると、こころが洗われるようなすがすがしい気持ちになります。

干潟畑灌

田んぼの病気

今の時期はいろんなことがたんぼでおきています。

イモチ病
これはイモチ病といって、イモチ菌が穂にはびこり、穂全体が変色しています。化学肥料などのチッソ分の多い土壌によく起きる稲の病気のようです。

 

ウンカが大発生しています

こちらはウンカという虫が異常発生して広い範囲で田んぼが枯れてしまったもの。昔からいる病虫ですが、現代は偏西風に乗って中国からも飛んできます。繁殖すると写真のように田んぼ全体が壊滅状態になります。
対策としては、薬で消毒するしかありません。殆どの農家の方がウンカにやられた経験をお持ちなので「無農薬栽培」を農家の方が怖がるのはこんなところからもきています。
稲の間隔を広く植えると(収量は落ちますが)風通しが良くなり、ウンカにかかりにくい傾向はあるようです。

 

モミがしろくなっています
こちらは、すずめに食べられた未熟モミ。米の粒が入るまえはモミは白い液体が入っていますが、これがすずめの好物らしく田んぼの外側の穂からまだらに白くなっています。近くにビニルハウスなどすずめが止まれるものがあると被害が大きくなります。数百羽でやってくることもあり、農家としては「どうしようもない」状態です。

重松さん
こちらは現在の山田錦、重松さんのたんぼ。風通しがよく、順調に健康に育っています。あとは台風が来ないことと、夜の気温が下がってくれるのを祈るのみです。

山田錦9月12日

背丈は110-120cm山田錦も随分大きくなりました。背丈は110-120cmほどまで伸び、秋風に吹かれて気持ち良さそう。現在、入熟期といって米粒に実が入り始める時期でモミの形はしているものの中は空っぽ。これから約10月末にかけて完熟していきます。

籾はあるけど中は空っぽ重松さんは、隣の田んぼでウンカ(害虫の一種)が発生したので自分の田んぼに飛んでこないか心配とか。近くの田んぼではイモチ病も発生しており、こちらも伝染が心配。

先日紹介した樽海さんに言わせると「健康な稲さえつくっておけば全く病気は心配ない」らしく、自然農法を始めて以来消毒などは全くしたことがないのに病虫や病気には一度もかかったことはないとのことでした。自然とは力強いものです。

山田錦8月30日

少し黄色いのが穂です。山田錦の穂が出ました。この瞬間はベテランの農家さんにも格別な時で営農集団の方々から朝早く興奮気味に電話をいただきました。穂が出てコメの一粒一粒に花が咲き受粉するとコメが実ります。 今は最も台風に来てもらいたくない時期、受粉が出来るようにそっと見守るだけです。

山田錦8月26日

重松さん 8月26日まず、小郡市干潟営農集団の重松さんのたんぼ。背丈は90センチ程、先週から20センチも背が伸びました。生育は順調ですが分株の本数が多くすこし心配されていました。もう少しで稲穂が出る感じです。9月4-5日くらいでしょうか。

 

樽海さん 8月26日こちらは完全自然農法で取り組む樽海(たるみ)さんのたんぼ。樽海さんは農薬や肥料を全く使わない農法で取り組まれており、お会いするたびいかに現在の農業が間違っているかを語られます。 

樽海さんの考えは…
そもそも肥料というのは化学肥料にしても有機(オーガニック)にしても収量(農家の売上)を上げるためのもので、本来不要なもの。化学肥料は論外だが有機肥料も動物性の肥料は動物の餌が何なのか不明なので怖くて使えない。自然農法は、一般に収量が悪そうとか草取りが大変だとか思われているけど、収量は5-7俵とれるし草取りは殆どしたことが無い。 なんといっても無肥料の最大の強みは米が美味しいこと。 そして、いろんな経費がかからないのでJAが指導する間違った農業よりも多くの利益が確保でき後継者問題も解決するはず。 だいたい減反政策もしなくてよくなる(今年は47%の田んぼの減反しなくてはいけないとか)。食糧難は目の前なのに政府は何をやっている・・・と、こんな感じでした。 実際、無肥料での山田錦はチッソ分などのタンパク含有量が少なく、良い酒をつくる条件となります。

*これは樽海さんの農法を紹介したもので、肥料を施す農法を否定するものではありません。実際、地力や日照条件、米の品種や水の温度など、圃場ひとつひとつで条件は違うので稲作にマニュアルはないと思いますし、肥料を使った山田錦でもすばらしいものはあります。

ただ、当社は酒造りにおいて、自然農法は間違いなく正しい方向の一つだと考えておりますので今後もこのような方を応援していきたいと思っています。

山田錦8月17日

現在70cmくらいの背丈です8月17日の重松さんのたんぼ。背丈は70cmくらい。順調ですが少し分株本数が多く、中干し期間が短かったかと反省しておられました。ここ最近の酷暑により人間には大きな被害が出ておりますが、作物にとっては7月の長雨による日照不足を補うのに丁度良かったと考えるべきだと言われていました。マスコミでは異常気象だと連日報道していますが、自然は誠にバランスよくできていると思いました。

左が無肥料、右が有機質の肥料を40kg/反 入れた田んぼ 実験中。稲は現在、幼穂形成期に入っており、一つの稲株から30本程度の茎が出ており、その内25本くらいから穂がでれば理想的だと言っておられました。あまり分株本数を増やして欲張ると、日照不足の茎が出てきて良い籾が期待できないのです。つまり、欲張らず少ない穂で健康な籾を適量栽培するという理屈。
 いい酒を造るためにと、農家の方々にはいつも大変なご協力をいただいており有り難い限りです。