季節料理 かずしま

第1次地酒ブーム…昭和50年代、少数の酒販店の努力により、地方の名もない酒蔵の日本酒が発掘され、銘柄が大都市に紹介されたところその美味しさに火がつき一大ブームを巻き起こした。

高度経済成長の余韻が残っている頃、蔵元は勉強会と称して全国からしょっちゅう集まっては、酒について話し合い、膝を突き合わせて夢を語り合った。山口酒造場も全国を歩き回り、各地の酒つくりを勉強し、また友人の蔵元が筑後を訪ねてくれば当地の旨い酒と肴で朝まで語り合う…

かずしま女将不思議と全国には、今でも「蔵元が集まる店」が点々とある。
そして、九州で蔵元が集まるとき、必ずといっていいほどその舞台になったのが、久留米市にある「季節料理 かずしま」であった。

小さなお店であるが、美味しいお酒の取り揃えと、いかにもお酒が美味しくなるような肴の組み合わせに、全国から集まった蔵元は舌鼓を打つ……何十回と繰り返された光景であった。

しかし、残念なことに名店「かずしま」は先月閉店になった。かずしま女将の一人娘がご結婚されたのがきっかけらしいが、「*筑後四場」という言葉はここから生まれたらしく、逸話が多く残る名店の暖簾が降りてしまうのは誠に残念。
また一つ時代が終わった気がした。

全国に名をとどろかせたかずしまでした
*筑後4場とは、昭和60年代に美味しい純米酒造りを目指した筑後の酒蔵4社を指す。
有名な「越後vs筑後」のイベントでは、新潟の有名銘柄と筑後の無名銘柄をブラインドできき酒したところ、上位を筑後勢が独占し新聞や雑誌が書き立てたこともあり、話題になった。
三井の寿(大刀洗町)、杜の蔵(久留米市三潴町)、旭菊(久留米市三潴町)、庭のうぐいす(久留米市北野町) がその銘柄。