仕込49号~火入れ・貯蔵編~

ろ過が終わると、火入れ作業に移ります。

火入れとは、お酒を60-65度に熱することをいい、この作業を行わないお酒は「生酒」と呼ばれます。
では、なぜお酒をわざわざ熱するのか?

新酒の中には、「酵素」という物質が沢山含まれます。
お酒の原料になる「米こうじ」は、麹菌(こうじきん)という生き物をお米に繁殖させたものですが、この麹菌が繁殖するときに自分で分泌するものが「酵素」です。

すこしわかりにくいかもしれませんが、酵素とは「生き物」ではなく「物質」だと思ってください。人間にたとえると、唾液や涙や爪や髪の毛みたいなものでしょうか?酵素とは、麹菌が繁殖するときに出したものです。

(つづく)

 

5月蔵元日記

5月の筑後川流域地方は、新緑がみずみずしく水面に映り一年でもっとも美しい季節。菜の花も咲き乱れ絶妙な色のコントラストが楽しめます。

蔵では、冬場に使った道具をきれいに洗いながら、来年の仕込についてもいろいろと策を練っているところです。

比嘉繁(右)と古賀剛(左)●さて今月は大きなお知らせがあります。
約6年間酒造りで活躍してくれた、杜氏の比嘉繁が今月をもって退職し、副杜氏の古賀剛が来年から(7月1日)から杜氏になります。

比嘉繁は、恐らく日本で初めての沖縄出身の杜氏でしょう。
泡盛の地で育ち、福岡で日本酒に出会い、そのまま酒造りの門をたたいて杜氏にまでなってしまいました。
杜氏一年目にいきなり全国鑑評会で入賞するなど、実力もさることながらその熱心な酒造りの姿勢には、周りを引き締めるものがありました。 今回、どうしても沖縄に戻らなければならなくなり、退職することになりました。

<比嘉繁>
このたび、山口酒造場を退職することになりました。長い間、皆様方にお世話になりまして本当にありがとうございました。
今回個人的な事情で沖縄に帰らなければならなくなり、結果として日本酒の業界を去ることになってしまいましたが、この6年間で知り得た日本酒の素晴らしさとは一生つき合っていきたいと思っています。日本酒は自分にとって一生の宝ものです。
自分の想いは古賀次期杜氏が十分引き継いでくれ、さらに進化させてくれると信じています。
これからも、古賀杜氏が造る「新・庭のうぐいす」を宜しくお願いします。

最後に、この場をお借りして、いままでお世話になったお取引先の皆様、愛飲家の皆様、ご指導くださった鈴木先生をはじめとする国税局・福岡県の技師の先生方、県内外の酒造場の先生方、また、杜氏組合の組合員の皆様ほか、多くの皆様に感謝申し上げます。 本当にありがとうございました。

 

<古賀剛>
来年から杜氏の役を仰せつかりました古賀と申します。まだまだ、分からないことばかりですが、若いスタッフと力を合わせ、まずは平成20BYの造りを全力でがんばっていきたいと思っています。
どうぞ宜しくお願いいたします。