今年も梅酒の製造が始まりました。
「極上の梅を・・・」という思いで造り始めたため、「うぐいすとまり」は本数が大変少なくご迷惑をおかけしております。
仕込みは、まず大粒の梅を選別して収穫し、なるべく早く氷水で水洗いをします。次に写真の通りタンクに仕込み、これに氷砂糖、粕取り焼酎、米焼酎と重ねていきます。これから梅の引き上げまで数ヶ月、すぐに貯蔵し、低温で一年。出荷はそれから半年ほどしてから始めます。
磨き抜かれた技を継承
「こんなに暑けりゃ甘酒でも飲まねぇとやってられねぇ~よ」
とは江戸の庶民の言葉。甘酒は滋養に良い栄養たっぷりの醗酵食品。俳句の世界でも夏の季語として用いられます。酒粕をお湯に溶いて造る甘酒もありますが、きちんと麹(こうじ)と米から造りそれ以外の添加物が一切入っていないものが本物の甘酒だと当社は考えます。
江戸時代に確立された麹を造る技術。味噌や醤油などにも使われ、麹によって日本食は多様な食文化を育めたともいえます。しかし酒造りにおいて製麹(せいぎく。麹をつくること)は大変繊細で難しい工程であり、それでいて酒質を決めるもっとも重要な要素とされるため夜中何度も起きて番をする杜氏も多い。
甘酒とはそんな麹を原料の50%も使用する贅沢な「東洋のヨーグルト」(当社製法)。アルコール分ゼロの「お米のジュース」である。日本酒の麹ほど気を使わないが、麹の出来如何で味はかなり違ってくる。
造るのはnipponのこころです・・・
これまで当社の内部的な宣言であったCSRについての方針をご紹介します。
合名会社山口酒造場CSR方針
~造るのはnipponのこころです~
1.数値目標
販売上の数値目標を第一とはせず、利益とはnipponのこころ造りを通しての結果と考えます。会社、地域社会、売り先、買い先、の全てが幸せになるために、和を大切にし、お客様のご要望には最大限の努力をし、取引先には礼を尽くし、原料が国土から生まれるところから商品として出荷し代金を頂き納税するまで、細心の注意を払い、山口酒造場としてのこころを吹き込み、日本人としての誇りを胸に商品を広くすすめお届けします。
2.環境配慮
一升瓶はリサイクルを基本とします。
資材は無駄使いをしません
ゴミを出来る限り少なくします
3.企業倫理
いつでもだれでもみていただける製造工程、製品造りを行います。
情報は全てを開示します。
地域社会に対しては最大の感謝の念をもって接し、明るい地域造りを率先します。
2006年10月1日
合名会社山口酒造場
(第174期経営計画より抜粋)
梅酒を仕込んだ後に出る大量の梅の実は産業廃棄物としてすてられているのが実情です。この梅実は実は栄養たっぷりの食べても美味しいもので、ジャムや洋菓子にもつかわれています。この梅実で何か出来ないかと考え、平成18年から「うめぶた」という取組みを始めました。これは、梅の実をブタにたべてもらい、その排泄物で肥料をつくり、これを梅の木に返すというプロジェクト。近所の養豚屋さんの協力で実現しました。この養豚屋さんは杉さんといって、ソーセージの世界コンクールで日本人初の最高賞を受賞した知る人ぞしる名人です。杉さんいわく「まちがいなく旨い!」といのがうめぶたの評価。現在は数がすくないので一部の方しか食べてもらっておりませんが、いつの日か皆様で食べてもらう日を楽しみにしています。そのブタの肥料も梅ノ木に潤いを与えています。今年の6月、収穫が楽しみです。 asked synonym . free website free domain name . .
ラベルはとても大切なことだと考えています。ラベルだけで多くのこと説明することは至難の業。しかし、飲む前に味を想像してもらうため、味を覚えてもらうため、当社ではこころを込めて一枚一枚ラベルを貼っています。ラベルとは人間でいえば、衣服みたいなもの。礼儀も大切です。色、大きさ、トータルコーディネート、そして内容。最近、一部の商品限定で裏ラベルに、「銘酒の素は」という縦長の裏ラベルを使用しておりますが、ごらんになられましたか?あの文章は10代女将の山口怜子の実父・矢幡治美が10代蔵元にあてた手紙の引用です。矢幡治美は一村一品運動の提唱者で「農業の神様」とも言われた人。「うめくり植えてハワイへいこう」などが有名ですが、もともと戦前までは造り酒屋をしており戦後の免許統制で廃業させられ農業に転身。S50年代終わりころ不況の日本酒業界を心配し、10代蔵元にアドバイスした手紙です。「我が蔵には良い菌がおる 良い水を使う 旨い米を集める とは古い言葉であろうか」が全文。なんとも深い言葉です。
しかしこの全国新酒鑑評会については、功罪があると考えます。「功」については、出品をすることで明らかに蔵の技術レベルがあがる事。杜氏や蔵元は真剣に醗酵学を勉強し、酒造りに関しての知識を貪欲に吸収します。また「金賞」ととるために、蔵同士の交流も盛んになりますし、商売にも多少なりともプラスになる部分があります。
しかし、「罪」についても特質すべきことがいくつかあります。一点目は、結果として「燗」でのむ日本酒がわすれられてしまったということです。出品酒が冷やでのまれる大吟醸であるため、あたかも最高の酒が冷やで飲む大吟醸ということになってしまったこと(初めから想定はしてなかった筈ですが)。冷酒を西洋のガラスで飲む文化が最高と位置づけれれ、陶器や磁器でのむあたたかみのある日本酒は置いていかれてしまいました。そろそろ鑑評会も市販酒で行う時期がきているのかもしれません。
二点目は、「鑑評会」が「品評会」になっていることです。、この
鑑評会の本来の目的は、技術者がまだ完成していないお酒を春の時期に「鑑みて」火入れの時期や秋までの貯蔵の方法などを検討した真剣な場所であったらしい。当初は審査は生酒で行われていたが、なんらかの理由で審査、一般公開の時期が5月までずれこみやむなく火入れで審査をすることになったのだとか。現在は、将来を見据えた鑑評会ではなく、今の状態を品評する「品評会」になってしまっており、すでに飲みやすく完成された酒が「金賞」になるという本来の趣旨からはなれた会になってしまってます。搾った瞬間が一番うまいという酒造りも、それはそれで難しさがあると思いますが、やはり、ワインでいうとボジョレーヌーボーに味のピークをもってくる造り方よりも、「熟成」という考え方をして、例えばひと夏おいてうまさ・やわらかさを引き出した日本酒造りの技術研鑽の場とするという事を一方では考えていくべきだと考えます。そのためには、権威ある鑑評会が、「品評会」になってしまっていることを少し残念に思います。日本はnipponにあり。悲しいかな、日本人が本来もっていた精神は今はnippon(海外)にあるのでしょうか。利他の精神、思いやりの心、恥の概念、向上心、武士道精神、商道徳、独特の美的センス、などなど。世界中の国々がお手本にしている国民性はむしろ外国人のほうがよく学んでいるのかもしれません。
「1945年に日本が戦争に負けてすべてはそこからおかしくなった。まだ戦争は終わっていない」とはある大企業の会長の言葉。我々は日本酒造りを通して、日本人が本来もっているnipponのこころを日本に復活させたい、高めたい、広げたいと願っております。これは、自分の故郷、日本が大好きな山口酒造場の変らぬ願いでもあります。 .
山田錦という酒米があります。当社では、自分の手で田を耕し土を作り山田錦を作ります。肥料をいれず、農薬は必要最低限に、自然の無限の可能性を信じて。
山郷でできる山田錦は、反収こそ少ないものの痩せた土に深く根をはり、昼は日光を一身にあび、夜は涼しげに体調を整え、山あいから流れ出る冷たい水が心地よさそう。健康な稲は台風がきても倒れない。秋には穂が黄金色に輝き、大粒の実りを与えれくれます。
山田錦にしか出せない味があります、山田錦にしか出来ない後味があります。精米して砕けず、外硬内軟な粒は内側からとけていき酒に品格をもたせます。品格、味、作業性、価格、何をとっても最高の品種。それが山田錦。いまだにこれを超える酒米はないと考えます。しかし、近年、山田錦の需要は減少気味です。価格が高いからでしょうか、とても残念なことです。「死ぬまでに一度でいいから山田錦で大吟醸を造ってみたかった。。。」とはある有名な杜氏の引退の言葉。時代は変り、だれでも山田錦を手に入れることができる世の中になりつつあります。山口酒造場では可能な限り山田錦を使い続けたいと考えています。 domain server .