高山亀雄さん

「なんばしよんの?あんた久しぶりね」
赤坂エクセルホテル東急の3Fにある「赤坂有薫」に高山亀雄さんという翁がおられます。
昭和27年福岡県久留米市に今も営業している「鳥善」という有明海料理店を開き、今では東京を中心に九州郷土料理店を8店展開する「有薫酒蔵」の創業者。今年で93歳になりますが一日4合の日本酒は毎日欠かさず、今日もお店でお客と大好きな熱燗を飲み交わします。

高山亀雄さん亀雄さんは、全国で1等賞を2度も受賞した有名な柳川杜氏を叔父にもち、日本酒に対する愛情は半端なものではなく、毎回こちらが恐れ入るほど。亀雄さん自身も若かりし頃は倉男として働いたことがあるそうです。飲み方にもこだわりをお持ちで、先日訪ねた時にもいかに55℃の熱燗が美味しいか、温度計で正確に測った手製の熱燗を飲ませていただきました。確かに55度の熱燗は素晴らしく美味しかった。

だるま純米酒を55度にしてもらいました店内で焼酎を飲んでいる団体には、「自分がおごるけん…」とすすんで日本酒を振る舞い、お客に日本酒の美味しさを伝え続け、初めて会う人たちとも溶けあい、いつのまにやら店全体が一つになる、そんな不思議な魅力をお持ちのお方です。

亀雄さんは、決して驕ることなく人間味があり、その人生経験からくるのでしょうか、「今日はいい話を聞いた」と涙を流して帰られるお客さんも多いらしい。

地元久留米の老人ホームを毎年慰問し、うなぎ料理を振舞うことを45年も続けておられますが、今年も地元の新聞にでていたので尋ねると「喜んでもらうのは嬉しかけど、自分より年下の入所者ばかりで寂しか…」ともらしておられました。

現在、店の経営は長男の長男、幸一郎君に引きつがれていますが、やはり店には八重洲時代からの長年のお客さんが足しげくご来店されています。

とおちゃま高山亀雄さんの名刺の肩書きは「とおちゃま」と書かれています。
お店に入ってとおちゃまをよんでみてください。老若男女を問わず「あんた誰の?」という言葉から、楽しいお酒が始まるはずです。