記録的なあたたかさだった11月の九州
12月になり、ようやく紅葉も色づいてきました
めっきり冬らしくなってきた、福岡県筑後地方
新酒が待ち遠しい季節になりました
いましばらくおまちくださいませ
磨き抜かれた技を継承
晴れた日が多く、空が済んで月が美しく見える秋
旧暦9月13日 十三夜
庭のうぐいすのお団子も13個になりました
太陽を陽(よう)とすると、月は陰(いん)
昔から日本人は、月の「いん」が「かげ」に音が通じるので、おかげさま として
月を拝んだそうです
(左から、番屋(ばんや)、槽場(ふなば)、もと場と呼んでいる)
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山口酒造場には、江戸時代に建てられた蔵が6棟ある。どれも築200年以上
酒蔵によくある「代々大切に使ってきた蔵」だ
これら三棟は1991年の台風で半壊したが、両親が文字通り体を張って守ったのを覚えている
誉めすぎかもしれないが、あのころの両親はいつも泥にまみれていたけど、かっこ良かった
しかしこの夏、江戸六棟のうち、これらの三棟を解体することに
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(小さいころ、よくここで遊んだ。悪いことでもしているかのようで、わくわくした)
(もと場一階。自分が蔵に戻ったころ、大吟醸はここで仕込んでいた。前の杜氏さんとの思い出の場所)
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修理をして、なんとか建物として残せないか?
作業しやすい空間に改築できないか?
移築はできないものか
図面や見積もりが次々と届く
半年たち、一年たち・・・
しかし、なかなか将来の絵が描けない
「出来ないはずはないよ。もっと、いろんな人に聞いてごらん」
慣れ親しんだ蔵を解体したくない気持ちは、家族も一緒。
もう一度、いろいろな人に聞いてみる
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(最初に梁が折れたのは、槽場の一階。水を沢山使う場所なので、痛みも激しかった)
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つてを頼り、大手ゼネコンの方や古民家再生チームの方々にまでお世話になった
最初は、専門の方が意気揚々とやってくる
しかし、専門家であればあるほど、厳しい現実を話してくれる
思ったより、蔵は傷んでいた
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(番屋一階。昭和20年代ごろから平成10年ごろまで貯蔵に使っていた場所)
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まず費用の問題
予想はしていたが、改築は新築するよりも、経費がかかる
江戸の蔵を保存するなんて、こんな文化的なことにどれだけのお金を使えるか・・・
自分の使命てなんだろう、みたいなことまで考えた
(余談だが、移築が意外と安いことは勉強になった)
保存に向けて費用的な問題は、もしかしたらなんとかなるかもしれない
あとは、今後実用的な使い方が出来るかどうか・・・
しかし、今の酒造りに必要なカタチに蔵を改築しようとすると、いろんな法律が立ちはだかる。
建築基準法
用途地域
消防法
今更言いたくないが、規制、ルール、が厳しすぎる
堂々巡り 袋小路
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(ここ数年立ち入り禁止にしていた番屋一階。よく壊れずにいてくれた)
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法律の通り耐震補強などを施すと、もともと建物がもっていた雰囲気がなくなってしまう
しかも、今の酒つくりにはむかないカタチ
「今、使いにくい」
このことが決定的だった
解体して新しい蔵をたてよう! と腹をくくったのが一年半前
迷いがなかったかといえば、ウソになる・・・
が、常々親が言っていた言葉を思い出し、背中を押してくれた
「重要文化財じゃあるまいし。自分のよかごとしていいとよ」
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(槽場一階。平成になって二度補強工事をしたが、柱が腐っておりさすがに寿命だそう)
(モノ置き場だった、もと場の二階。改めて見ると、立派な梁組み)
(200年もの間ありがとう。感謝の気持ちをこめて出来るだけの掃除をした)
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お盆前に、歴代の杜氏さんに挨拶をしてきた
私が小学生のころ杜氏をしていた大津正信翁のご仏壇の前で、なんでだろう、涙がとまらなくなった
でも、振り返ると、奥さんも一緒に泣いてくれていた
杜氏さんたちには悪いことしたけど、きっとご加護もあるのだと思えるようになった