たんぼの山田錦

登熟期のモミ
山田錦は、近年まれに見る順調な生育振りです。

日照時間が長く、夜は寒いくらいに気温がさがる。
風もふいているが、台風は全く来ない。

山田錦の主産地、福岡県糸島地方は、この週末に稲刈りが行われます。
(福岡県は、山田錦の生産量が全国2位。良質なコメがとれます)
自社田の干潟地区、秋月地区は、あと1週間ほど刈り取り時期を遅らせるか、検討中。

風が適度に吹いています

最近は異常気象が当たり前になっているので、今年のようにコメ造りが順調にいくと、むしろ珍しい感じすらしてしまいます

糸島 山田錦

美しい糸島地方福岡県は、山田錦の生産量が全国で2位、酒米全体では日本一という、実は米どころなのです。一般の酒造米は、山口酒造場のある筑後地方が主産地なのですが、山田錦の産地として有名なのは、福岡市から西に車で30分ほど行ったところにある糸島地方。

糸島地方の山田錦は質が良いので当社でも頻繁に使わせていただいております。
先日、今年の生育状況を視察に訪れました。

穂が開く前

今年は例年にも増して好天に恵まれ、品質・収量ともに良好の見込み。
今まで台風が一度も上陸していないので、9月10月が要注意。
(7,8月に台風が上陸していない年は、秋に台風が集中する傾向にあります)

JAの方は「秋に気温が下がってくれればいいのですが」と、干潟の方と同じようなことをいわれていました。

穂が出ました!

出穂時期にはきれいな花が咲きます 

9月6~7日頃、例年より一週間遅くれて山田錦の穂が出ました。今年の作戦「遅く植えて、遅く刈り取る」は、ひとまず順調です。ぐっと気温が下がる時期まで刈り取り時期を遅らせることができれば、酒造りに適する良い山田錦がとれるはず。

一面に穂がでています

地球温暖化との共存がこれからの純米酒造りの大きなテーマですが、今回の実験が「暑さ対策」の一策になれば良いのですが。

穂が出る前の田んぼ

重松淳一さんの圃場

8月の痛いばかりの日差しを受け、穂はまっすく力強く伸び続けています。
中干し期間が終わり、あとは、台風が来ないことと、9月以降、夜の気温が下がってくれることを祈るのみ。

茎を割って穂を確かめます
今年は田植え時期を遅らせ、穂が出る次期をなんとか9月初めまで遅らせられないかとい作戦です。
恒さんは稲を割って例年より穂が出る次期が遅らせることができるかどうか、確かめています。

少し心配そうな恒さん山田錦8月16日

稲造り50年のベテランも毎年が緊張の連続という。
「一年として同じことは起こらない」と、いつも肝に命じているのだとか。

 重松恒さんは今日も笑顔

山田錦7月25日

ひさしさん
(重松恒(ひさし)さんは、今日も笑顔です)

「夕立でもふってくれれば、稲が元気になるんだけど。。」
とは、昭和32年から百姓一筋のひさしさんの第一声。
梅雨明け以来、まったく雨がふりません。この次期は真夏の太陽を受けてすくすく延びる時期ですが、ここまで日照りがつづけばすこし稲はくたびれ気味なのでしょうか。

すこし深植え気味? 

 

山田錦造り 今年の作戦

いろいろ調べた結果、今年の夏もムチャクチャ暑いに違いないという結論になりました。

すると、昨年のように、高温障害が懸念されます。
(もっとも、干潟地区の田んぼには真夏でも冷たい水が流れ込むので、高温障害らしい症状はあまり見られませんでしたが…)

稲造りにはいろんなポイントがあるのでしょうが、恒(ひさし)さんの今年の作戦は「遅く植えて遅く刈り取る」。という単純明快なもの。

秋口の気温が高すぎて稲がへたばってしまうので、2週間ほど遅く田植えをして、10日ほど遅く刈り取ろうということです。

育苗箱
↑今年の種まきは6月中旬。いつもより2-3週間遅い。
従来通り、収量を欲張らず、薄くまきます。山田錦ならでは。

苗
↑完成した苗(6月末)。無肥料で育てた苗は、黄緑色のよい「顔色」をしています。
健康そものもです。

恒さんのたんぼ
↑今年の田植えはなんと7月2日。6月20日頃までに田植えをするのが一般的ですが、7月に田植えをしたのは、私自身初めての経験。
恒さんによると、「お天道様と相談しながらやらないとだめ」なのだとか。

見守る恒さん

2008年 山田錦つくり

2008年の山田錦造りが始まっています。

昨年は晩秋まで猛暑が続き、高温障害の一種でしょうか、全国的に米が硬く、酒造りにおいては酒に味が乗りにくい年になったように思います。

さて、今年はどのような年になるのでしょうか。

2008年は、福岡県小郡市干潟地区の重松恒(しげまつひさし)さんの田んぼを追っかけてみようと思います。( 昨年連載した、重松淳一さんとはちがう方です)

恒さんは、「俺は百姓じゃなかったら吉本にいってた。。」というとおり、とにかく良くしゃべり、面白い方。

重松恒(しげまつひさし)さん

現在は、干潟営農集団の集団長さんです。
「米は50回しか作ったことがないから、まだまだ素人」と謙遜されるが、要するに農家一筋50年というベテランです。

恒さんの、米造りの心と技を今年はたっぷりご覧いただきます。

とにかくよく笑います

とにかく良く笑うかたです

(つづく)