今年も大変おせわになりました。

すっかり国民的行事になったクリスマスが終わり
北野町でも正月に向けてせわしなく人々が行き交っています。

今年は震災・原発という未曾有の惨事に日本中が悲しんだ一方で
山口酒造場という小さな酒蔵にもいろんなことがありました。

1月に老朽化した江戸蔵が寿命だと悟り、解体&建て替えを決意した。
2月は梅酒「鶯とろ」が日本一の賞をいただき
3月には次女が誕生しそして震災。
経営的にはつらい時期でしたが被害にあわれたお客様から逆に元気をいただいた。
4月には主力商品のラベルデザインを一新し
5月に新入社員を迎え、
6月は田植え&農家経営を研究し、九州筑後元気計画を卒業
7月から久留米大学と「酒活プロジェエクト」をスタートさせ
8月は、真夏のどぶろく・梅酒仕込みを経験
9月10月は酒の会・酒イベントに多数お呼びいただいた
10月は筑後の土蔵25周年
11月から酒造りを始め
12月はお陰様で望外の成績を納めることができる見込み
また今年は中国向け輸出をスタートさせ、香港、台湾、イギリスにも新しいお客様が出来ました。
良いことも悪いことも沢山あった一年でした。

「お代わりしたくなる酒」というテーマに対する取組。
新しい醸造技術への挑戦。
そして農家を経営してみるという挑戦。
この課題は来年も継続します。

来年はどんな一年になるのだろう。
私個人としては、江戸蔵を解体し新しい蔵を立てることに
多くの時間を使うことになるは間違いなさそうです。
神様はなかなか楽をさせてくれません。

今年一年たくさんの皆様に支えていただきました。
心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
皆々様に感謝して、今年の営業を終了させていただきたく存じます。

どうぞよいお年をお迎えくださいませ

平成23年12月30日
合名会社山口酒造場
代表社員 山口哲生

年明けは1月5日から営業開始します。
(製造部は年末年始も動いております)

冬の季節限定商品

いよいよ12月らしくなってきました。

冬の限定商品 庭のうぐいす ふゆにごり。新発売しました。
軽快で甘みのあるにごりざけです。お求めはいつもの地酒専門店さんでどうぞ。

1.8リットル 2600円(別)
720ml   1300円(別)

なくなり次第終了となります。
よろしくお願いします。

12月蔵元日記

師走とは思えない暖かい毎日です。蔵人はTシャツで作業する始末。
これから年末にかけてぐっと冷え込み、美味しい日本酒が欲しくなるようないつもの師走になってほしいものです。

さて、酒蔵では毎日仕込みが続いています。
毎日が暖かいので多少例年よりかは時間がかかっていますが、今のところ順調に発酵が続いています。

また、先月末に今年最初の新酒をしぼりました。
この仕込み第一号は「ふゆにごり」として皆様方にお届けできる見込みです。

なめらかで軽快なにごり酒、冬限定の商品。ラベルも斬新です。
どうぞお楽しみに!

【酒活プロジェクト】ボジョレーイベント


11月の第三木曜日はボジョレーヌーボーの解禁日!
日付変更線の関係で日本が世界中で一番最初に飲めるといことで、毎年この日は大変盛り上がりますね。あちらこちらでイベントが行われているようです。

さて、地元の久留米市でも毎年ボジョレーのイベントが行われています。
久留米の場合、これを主催しているのがなんと久留米市の第三セクター。
さすが酒どころ久留米です。

今年も11月17日久留米市六角堂でボジョレーイベントが開催されました。
今年で9年目となり、久留米市民にはすっかりお馴染みのイベントになりました。参加人数500人超はボジョレーイベントとしては恐らく日本最大だそうです。

そこで、われらが【酒活プロジェクトチーム】は久留米市の協力をもらい【酒活】で作ってきた新しいお酒3種類をこのイベントでお披露させてもらうことにしました。

また、当日は三種類のリキュールを実際に皆様に試飲してもらいました。
会場の皆様に一番すきなリキュールに投票してもらい、その結果をもとにさらに商品に磨きをかけていこうという目論見です。

当日は久留米大学文学部の学生さんたちがたくさん応援に来てくださり、インベントスタッフとしても活躍してくれました。

ステージでのPR。
各チーム力が入ります。

Aチームは二人を結ぶリキュール。
みんなよく頑張りました。弓削さんの発表もとてもよかった。
梅酒X紅茶 の味わい深いお酒です。

Bチーム
発表は梶原さん。どよめきがおこった「女子力アップ」という切り口。
会場のみなさまも興味津々でした。評判も上々。

そしてCチームは、癒しのリキュール。
樋口さんのプレゼンテーションも落ち着いてとてもわかりやすかったです。

そして乾杯前の時間を拝借して、3つのリキュールでどれが美味しいか、また、その感想などをヒアリング。


みなさま方からいただた貴重な意見をもとに、これから商品作りの最終段階に入ります。みなさま、大変お世話になりました。
まだまだ、久留米大学文学部X山口酒造場 産学連携事業
【酒活プロジェクト】続きます。

【酒活】Aチーム キーワードは「恋」


【酒活(しゅかつ)プロジェクト】
平成23年、山口酒造場が久留米大学文学部と共同して新しいお酒を開発し、
全国コンテストに応募する産学連携事業です。
構成メンバーは、久留米大学文学部の教授、大学生、山口酒造場のスタッフ。

久しぶりの投稿です。
夏の間、開発スタッフが三チームにわかれ、それぞれしっかり活動していました。

各チーム、の夏~秋の活動をダイジェスト版で紹介します。

◎Aチーム(班長は弊社の藤井君。開発スタッフは学生さん6名)

< スタート期>
(まずはコンセプト決め)

キーワードは「恋」に決まり。

「二人をむすぶ」お酒をつくりたい

たとえば、出会ったばかりの男女…
「倦怠期」を迎えたカップルや夫婦…
馴れ合いになった友達同士や会社の仲間…

< 迷い期>
ここから、Aチームは長いトンネルに入りました。

コンセプトが決まったのに、これを表現する味が決まらない。
「恋愛を色で例えると」、「甘さはこれくらい」、「酸っぱさ加減」云々。

数限りなくある、味と色の組合せ。

< 確信期>

何だか訳が分からなくなったころ、Aチームは原点に返りました。

「二人をむすぶ」=「付き合い始めたころを思い出す」味
出会った頃の感じを思い出させてくれる、そんなお手伝いをしてくれる飲み物。

男女が、おちついて、しんみりと味わう。
落ち着いて昔を振り返ることが出来る味。
ほのかな甘酸っぱさもほしい。  

いろんなことが具体化していく、、ように見えた、、

< 試行錯誤>
しかし、Aチームはここからも長かった。

コンセプトが味で表現できない。。ピンとこない。
夜遅くまで打ち合わせすることもしばしば

いちごみるく、ヨーグルト、焼酎、カボス、桃ジュース、クランベリー、ローズピップ、ハイビスカス、リンゴ酢、
またしても限りない組み合わせ。。。

しかし、やっていくうちに、「紅茶」がいちばんコンセプトにしっくりくることに学生さんたちは行き着きました。
紅茶に、甘酸っぱさを加えていきたい。

< 完成期>

紅茶にあまずっぱい要素を加えたもの
次第に材料がしぼられていく、、
紅茶の種類も決まってきた。

複雑な味は二人の思い出の積み重ね。
大人の雰囲気でゆっくりしんみりと味わい、昔を思い出してほしい。
夜景をみながらJAZZを聞きながら。

そうして出来上がったのが、
ふたりをむずぶ「Ribbon Time」

おちついた複雑な味のするしんみりと慈悲深いお酒の完成です

○社長談
Aチームは心理学科の学生さんが多く、「恋愛」という切り口がすんなりと決まり、スムーズにスタートしました。
心理学の授業は恋愛がテーマだったりすることがよくあるようです。知りませんでした。
Aチームは、「フランス人っぽい雰囲気の中」、決まらないことを楽しんでいたようにも見えました。偏見か?
傍からみていると、弊社藤井君とはキャラが全く違い、藤井君は班長としても個人的にも多少戸惑っているようにも見えましたが、いいお勉強でした(笑)。紅茶リキュールは苦味が引き立ち、深い味わいです。確かに、付き合いの長い人と二人で夜、JAZZでもききながらしんみりと飲みたくなる味です。出会った頃を思い出しそうな。恋愛にこだわらず、男同士でもよさそう。でもこれを飲むなら絶対夜ですね。

【酒活】Bチーム テーマは一貫


続いてBチーム(班長は弊社の大下君。学生開発スタッフ7名)

もともと女性の多い、久留米大学文学部。

その中でも、偶然というか必然というか、ALL女子。
女子だけのチームになってしまったのがBチーム。

弊社のクールな体育会系大下君(Bチームの班長)も、タジタジというか苦笑いすることもしばしばだったようです。
大下君とキャラがまったく違う班になってしまいました(笑)

Bチームのテーマは、一貫して「女子力」

< 立ち上げ期>
ものつくりはコンセプトつくりが一番大切だと私は思っています。
その意味では、Bチームは素晴らしかった!!

終始一貫して、コンセプトは「女子力アップリキュール」をつくりたい!
女の子がドキッとするようなリキュールを作りたい。色はピンクがいい!

<悩み期>
しかし、女子力とはなにか、女子力が上がるとは何を持って上がるというのか?
見た目なのか、内面なのか、
最初この点を深く掘り下げずスタートしたので、多少袋小路に迷い込んだ時期もありました。

多くの材料を持ってきても味がきまらない。
味が決まらないので、また新しい材料。
当然味は決まらない。

巨峰、桃、いちじく、アボガド、パイン、みかん、リンゴ、オレンジ、ブルーベリー、イチゴジャム、ゆずジャム、カルピス、牛乳、豆乳、アーモンド、緑茶、寒天、梨、スイートコーン、

一瞬何をやっているのかわからなくなる

< きづき期>
しかし、Bチームは立ち直りも早かった。
もう一度、女子力について考えようということに。

女子力アップ=甘すぎず、後味すっきり、アルコールは8%まで
というイメージが固まってきた。

果汁については、グアバ、パイナップルあたりにしぼられてきた。
ピンク色はあきらめた、黄金色で!


走りすぎるチームをうまく大下班長がさばきます。

女子力=「いつまでもかわいく綺麗でいたいと努力する力」

かわいくて高級感のある洋服、小物、アクセサリー、そんなものを
持ちたいという気持ちが女子力アップの源。

お酒のその一アイテム。
だから、容器が重要。

それでできたお酒がこれです。
女子力アップリキュール 「chulite」
チューライトと読みます。


(写真の真ん中)

なんとも今風のお酒です。たしかに、女子力UPというのもうなづけます。

◎社長談
Bチームはすばらしいチームワークと行動力。
女子力というか、活力に満ち溢れたチームでした。
みなさんセンスもいい。このまま社会に出ても活躍していく人たちでしょう。
このリキュールは、なるほど、今風の飲み物。Bチームが選んだ味。納得しました。
それにしても、女子力とはすごいものです。

【酒活】Cチーム どんでん返し


Cチームです。班長は弊社渡辺君。学生開発スタッフは7名(男3名 女4名)

「目的は変わらないのが美しいが、手段は変わる方が美しい」
目的を達成のために手段を選り好みしていてはダメという先人の教えです。

その意味では、Cチームは「リキュールの商品開発」という目的のために、思いっ切ってコンセプトを最後に変更した、勇気あるチームです。そして最後にはまたサプライズが。

< 出会い期>
チームごとにカラーがあるのが面白い。
Cチームは、活発な女子に男子学生が引っ張られる感じ。
世相を反映しているのが、いまどきなのかは不明です。

< カオス期Ⅰ>
Cチームが最初に立てたコンセプトは
「〇〇とまぜても美味しいリキュール」

飲むリキュールではなく、何かにかける、混ぜるという新しい切り口。
ターゲットは若年層。
初めからかなり具体的です。

< カオス期Ⅱ>
一見、まとまった感じに見えたCチームでしたが、すぐにコンセプト変更。

「元気のでるリキュール」
私たちは元気で元気でしょうがない!この元気をわけてあげるようリキュールを作りたい

< 研究期>
元気をキーワードにさまざまな元気ドリンクを考えるCチーム。

にんにく、ほうれん草、しょうが、かぼす、リンゴ、トマト、ブドウ、グレープフルーツ、イチゴ、チョコ、
お酒は、ジン、ウォッカ、梅酒、カルーア、ビール
色は、赤・黄・オレンジ
ビンは、透明、茶、黒、緑、

選択肢が多すぎて、当然のごとく迷います。
しかも、商品開発なんでしたことない学生さんばかりです。渡辺班長はじっと我慢。

< 迷い期>
後日、弊社の渡辺(Cチーム班長)が反省していましたが、この頃迷走の連続でした。

原料は、メロン、梅酒、マンゴー、パッション、オレンジ、コーヒー、炭酸、トマト、レモン、ココナッツ、ジン、テキーラ
試行錯誤は続きます。

< 試験期>
さまざまな実験の結果、だんだんわからなくなってくる。

ある料理の名人が言っていた言葉「わからなくなったら、引き算をせよ」
つまり、原料をひとつひとつ減らしていくことだ。

しかし、ここは学生さんがしたいようにさせてみる。ここでもじっと我慢。

学生さんを見ていると、元気が出るリキュールを作りたい気持ちが先行して、材料を絞り切れず、味はまとまらず、そのうち何をやってたんだっけ?みたいは空気が流れ始めた。

< 転換期>
コンセプトを変更しようという案が出た。
そうです。先人の教えによると、手法はどんどん変えていいのだ。

あたらしいコンセプトは「やすらきリキュール」
震災もあった、ストレス社会、癒しのリキュールを作りたい。

< 充実期>
コンセプトがストンと落ちると、材料もしっくりしてくる
グレープフルーツ・・・クエン酸が乳酸の代謝をたかめ、体を癒す効果あり
はちみつ・・・・・・・ストレスを緩和する。脳に癒しのエネルギー
しょうが・・・・・・・体を温める作用。一息つける効果。

ラベルは手書きでやさしく行こう!

それで、完成しました「MELLOW」です。
まろやかな、という意味です。
しかし、しっかり生姜が効いている!!
元気がでるほど辛いぞ!? おや!? 
学生さんたちに、してやられた気分です 笑


(右がMELLOWです)

◎社長談
Cチームが一番、打ち合わせ回数は多かったようです。試行錯誤の連続。一時はどうなることかと思いましたが、橋本さんを始めメンバーのみんながとてもよく頑張っていました。渡辺班長と歳が近かったせいか、いろいろ相談しやすかったのでしょうか。
さて、出来上がったお酒ですが、やすらぎというわりにはショウガの風味が強くスパイスの効いたしゃれた飲み物になりました。
チーム納得の一品です。

 

福酒500万人PROJECT フレンチマリアージュ編(前編)

11月8日、ついにその日がやってきました!!
福岡県酒造組合主催イベント
福酒500万人PROJECT フレンチマリアージュ編 です。


この日に向けて、委員会メンバーでどれだけの話し合いをしてきたことか(笑)
昨年から始まった委員会、みんなすっかり仲良くなりましたが、それにしても事業となるといろんなことが起こるものです(爆)

委員会メンバーさんは、次の方々です。
 薫仙・山田専務、有薫・首藤社長、若竹屋・篠田副社長、国の寿・目野常務、花の露・冨安真梨子さん、旭松・松木専務、天盃・多田社長、らんびき・田中専務、そして、喜多屋・木下社長<担当副会長> 

みなさん経験がある方ばかりですが、何故か熱く、みんなで熱く取り組んでいます。
また、組合のスタッフ、西広さん、西鉄グランドホテルさんなど外部協力者の方々にも大変なご尽力をいただきました。

(後編)

福岡県酒造組合には6つの委員会があり、そのうちの一つが、県産酒振興を目的とする「福岡イベント委員会」。
この委員会の委員長を2010年11年と私・山口がさせていただいておりました。


(天盃・多田社長)


(若竹屋・篠田副社長)

 福岡県には65もの日本酒の酒蔵があるのに、県産酒比率(福岡県内で飲まれる日本酒のなかで、福岡県産の日本酒の比率)が大変低く、20-25%の間ではないかと言われています。
 
 一方、お隣の佐賀県になるとこれが50-60%もあるとされ、いかに福岡県のお酒が福岡県で飲まれていないか。また、焼酎に至っては恐らく5-10%程度だろうといわれています。
 美味しい酒が沢山あるのに、とても残念。我々の努力不足です。。。

(喜多屋・木下社長 乾杯)

 そんなことを背景に、今年は2つの大きなイベントを担当させてもらうことになりました。「福酒500万人PROJECT」とは、福岡県内の人に県内産の日本酒・焼酎をのんでもらおうという取組です。

500万人とは福岡県の人口、福酒(ふくさけ)=「福岡県で造られたお酒」を愛飲していただくという訳です。

今年は「フレンチマリアージュ編」と題して、洋食(フレンチ)と日本酒・焼酎を合わせることに。
ワインを飲んでいた方にも、日本酒や焼酎も試していただく‥

当日は、252人の参加で超満員。
フレンチはおいしく、お酒は飲み放題だったので、会場は熱気ムンムンでした。
いい「酔っ払い」があちらこちらに(笑)

ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。
また、今回応募締切で入れなかったという方もなかりいらっしゃったと聞きました。

(菊美人・江崎専務 中締め)

また、来年も組合主催の面白いイベントがあると思います。
どうぞ、またお楽しみに~


(フレンチですが、一本締めはやはり起立して!)

祝W金賞!!

11月8日、平成23年度酒類鑑評会表彰式(福岡国税局管内)が行われました。
これは福岡国税局管内(福岡県・佐賀県・長崎県)の製造業者にて平成22年度に造られた酒類の審査が行われ、上位者が表彰されるものです。

私がいつもスゴイと思うのは、表彰されるときに、会社名と杜氏の名前が読み上げられること。
表彰されるのは飽くまで「会社」と「杜氏」さんであって、社長の名前はどこにも入らないのです。
名前で表彰されるのは、杜氏さん個人だけ。

今年、山口酒造場は、吟醸の部、純米の部、ともに金賞をいただきました。
W受賞はひさしぶりです。酒造りに一喜一憂してはいけないことは分かっているのですが、やはりうれしいものです。
これから始まる酒造りに一層気合いが入ります。

これから本格的に始まる日本酒つくりに、なんとも励みになりました。
ありがとうございました。


(純米酒の審査は燗酒で行われます。写真は一般公開の様子)


(2枚の賞状をもらった杜氏もさすがに緊張気味)