年末が近づいてくると、年越し蕎麦のことを考えます。
まったく個人的な話で申し訳ないのですが、私は蕎麦が大好きで出張に出かける度、地方の名店といわれる蕎麦屋さんを訪問することにしています。美味しいと思ったら必ず翌年も訪問します、出来れば季節を変えて。
そば粉には地方の特色があり、また、打ち手によっても随分違うので面白いものです。
九州はうどん文化なので旨い蕎麦屋は少ないといわれるらしいのですが、福岡県北九州市に「芭蕉庵」という蕎麦屋さんがあります。
知人から聞いたところによると芭蕉庵さんは、そば粉の産地や保存方法に凝り、自家製粉に懲り、生粉打ちに凝り、凝れば凝るほど営業時間と睡眠時間が短くなっていくという、まさしく山口酒造場のテーマ「nipponのこころ」を地でいく店。
私の浅い経験ですが、ここは日本で一番という気もするのです。
(但し、私が複数年に亘り最低5食以上食べた一握りの蕎麦屋さんの中では…の話です)
蕎麦の香りはいつ行っても素晴らしく、麺線はきれいにそろっており、生粉打ち(そば粉100%)とは思えないコシと長さ、そして、なによりもモチモチとした食感、甘くも辛くもない旨い出汁、上等なワサビ、別製の蕎麦湯、…
こんな蕎麦が多めに盛ってある「せいろ」が700円とは、芭蕉庵・藤本さんの店柄・人柄がにじみ出ています。
三年前、山口酒造場の蔵開きで「手打ち蕎麦」を提供したことがありましたが、実はこのときの蕎麦は芭蕉庵の藤本さんとそのグループの方々にお越しいただき、蕎麦粉や道具持参で大変なご協力をいただいて実現したものでした。
「うまい、うまい」と皆さんによろこんでいただいて何よりでしたが、実はこんなプロの面々が裏方にいらしゃったのでした。