仕込49号~発酵編 12日目~

耳を近づけると、「シュワシュワー」と静かな音をたてて発酵しています。

酵母という生き物が呼吸して、この炭酸ガス(二酸化炭素)を出しているのですが、この辺りはまったく人間と同じですね。

ボーメという甘さを測る単位は、3を切ると皆様になじみ深い「日本酒度」という指標にかわります。
日本酒度が+1より+5の方が辛口… なんて、飲み屋さんのメニューでよくみかけます。

12日目

6日目  ボーメ4
7日目  ボーメ3.2
8日目  日本酒度ー29(ボーメに直すと2.9)
9日目  日本酒度ー24( 〃   2.4)
10日目 日本酒度ー19
11日目 日本酒度ー15
12日目 日本酒度ー11

このようにモロミでは徐々に日本酒度がプラス方向に切れていくのですが、このころになると発酵も最盛期でアルコール分は15度近辺もあり、みなさんが飲む日本酒くらいの度数は既に出ています。

一方、麹はいまだに活発に働いており、一見「甘さ」がなくなっているように見えるのですが、これは「糖化」よりも「発酵」が勝っているからで、「麹による糖化」と「酵母による発酵」が力比べをしているようです。

杜氏はこの様子を五感をつかって想像し、分析し、冷静に温度操作を行っていきます。
日本人は江戸時代からこんなことを行っているのです。

(つづく)