仕込49号~滓引き編~

「おりびき」と読みます。
お酒を搾り終わるとモロミがなくなり、職人たちは温度管理や分析などの仕事から解放されるので一段落しますが、腕の良いと言われる杜氏ほど搾ってからの手入れこそが大切だと言います。

人間にたとえると、「搾る」ことは「子供を生むこと」に似ており、いろんな条件が整い、聖なる命が誕生したのが新酒です。確かに原料米や酵母の種類によってある程度の特徴を持って生まれてきますが、これからの育て方を間違うとすぐにお酒がダメになります。

むしろ人間よりもシビアなのは、一度ダメになった日本酒は、二度と良い酒には戻りません。味を「ごまかす」ことは出来ても、「更正」することは出来ないと思っています。「親が居ずとも子は育つ」のは人間界の話、日本酒の場合、生んだあとのほったらかしはダメなのです。少なくとも火入れまでは真剣勝負が続きます。

(つづく)