自然農法で取組む樽海さんの稲刈りが16日に終わりました。ご苦労なことに今年も手刈りです。昔懐かしい「かけ干し」が行われており、約1週間かけて乾燥させます。
この自然乾燥、いわゆる天日干しというのは米の食味を高めるので、天日干しのコメは本当に美味しい米になります。現代ではそんな面倒なことをせず、大半がJAの大型カントリーで熱風により機械乾燥されていますが、JAの主導する農業を知るたびにがっかりさせられます。
コメが「まだ」と言っているのにカントリーの順番に合わせて未熟米が収穫されてしまう現実、一旦カントリーに入れればあとは農家は知らんぷり、コメの出来栄えに関係なくJAが買い取ってくれ実際の販売はJAがやってくれる現実、これでは栽培に力が入らないのは当然でしょう。
結果JAだけが儲かるしくみで、所得が上がらない農家に後継者はおらず農業は衰退の一途。日本の食料自給率は40%を切り、国力も危ぶまれています。日本にはまだまだ美しい自然が沢山あるのに、残念。
(お金で安く食料が買える時代はそろそろ終わろうとしていると個人的には思うのですが、農家の方は今自信をなくされています。もうすこし1次産業の人が豊かになる方法はないのでしょうか。話をしているとこちらが心が洗われるような純粋で素晴らしいかたばかりです。)
それにしても樽海さんの田んぼは黄金色に輝いており、本当に美しかった。
肥料を全く施さず間隔を広くあけて栽培し、分株本数も15-18本とすくなく自然の力だけで成長した稲、戦前では当たり前の光景でしたが、今はこんな農家さんは「変人」扱いされる現代です。
昨年亡くなられた上原浩先生から「戦前の自然乾燥した米を原料にした酒造りと、いまの酒造りとは、根本的に醸造理論が違う」と聞いたことがあります。
当時は、よく理解できず「ふ~ん」くらいしか聞いていなかったのですが、今思うと、先生は何といいたかったのか。
これも昔話ですが、今年亡くなられた永谷先生から「山田錦の玄米おにぎりは美味しいぞ!!」と教えてもらったこともありました。酒米は食べても美味しくないとは業界の常識なので、すこし驚いたことを覚えています。
昨日は樽海さんの「山田錦玄米おにぎり」を一緒に食べましょうと約束をして帰ってきました。週末あたり楽しみです。
肝心の山田錦は、思ったより小粒でしたが心白がしっかり中心に入り見事なもの。今からコメの分析をしていきますが多分間違いない品質でしょう。
余談ですが、山田錦にしては随分背丈が短い気がしたので何故かと尋ねてみると、肥料をあげなかったら毎年すこしずつ背が縮んできたとか。
山田錦の特徴の一つ、背丈が高い(=栽培しにくい)というのは肥料のせいだったのだろうか?
コメ造り…分からないことばかりです。終わりのない挑戦は続きます。